森さんから教えていただいたこと
- 宍戸直也
- 2021年7月25日
- 読了時間: 3分
森さん、ご生前のご支援に深く感謝するとともに、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
私がKBC実行委員会に在籍していた2011~2013年は、IT系のベンチャーやVCを中心に企業が学生に対して起業支援やアントレプレナーシップ教育を展開する動きが活発化していました。そんな時期でしたので、自分たちの無力さを感じ、他のプレイヤーが華々しく見え、自分たちがインキュベーション活動を行う意義は何か、また自分はなぜそこに関わるのか、そんな活動理由を見出すのに悩むメンバーが多かったと思います。
私自身もそんな状況下で実行委員長に立候補し、どのような活動方針を打ち立てるのか、関わるメンバーに何を得てほしいのか、その答えに非常に悩みました。そんな中で森さんからいただいた2つのメッセージは、その後の私の大きな心の支えになりました。
1つ目は慶應義塾とのつながり、その精神を大事にすることです。KBC実行委員会は慶應義塾に根ざした学生団体ですので、「慶應らしさ」とは切っても切り離せない関係にありました。その制約をネガティブに捉える瞬間もあったと思いますが、「半学半教」や「実学」などに代表される慶應義塾の言葉を借りることで、学生ながらにより大きな目的とつながる意識を持つことができました。そうした姿勢を見て応援してくださる方は多く、団体外の方々のご協力をいただく触媒になったとも感じています。
2つ目は学生の可能性を信じることです。当時の私はいくつかやりたいこと案を持っていたものの、具体的な活動計画を示すことができず、とても頭でっかちな状態だったと思っています。そんな状況でも森さんは「そうかそうか」「やってみたらいい」と笑って聞いてくださり、学生が自ら考え取り組むことを信じて応援する姿勢は具体的なアドバイスよりも何よりの支援であったなと、今は振り返って感じています。
上記のお考えもあってか、私が実行委員長を拝命する評議委員会にて、「自我作古、まず走れ」というメッセージをいただきました。難しい1年に立ち向かう自分をまず肯定し、勇気と使命感を持って最初の一歩を踏み出そうという応援のお言葉であったと理解しています。
KBC実行委員会は現在、第16期が活動しております。昨今の状況を鑑みても、経験豊富な大人が大学の担当者としてインキュベーションや投資活動を行うようにもなり、またリモートが中心で私が経験したキャンパスライフとは大きく異なる状況にあります。そんな中で、当時と同じように活動理由を見出すのに悩むメンバーが多いと聞いています。
難しい時代ではありますが、私としては学生が自ら考えインキュベーション活動を行うことの意義と、その拠り所の一つとして慶應義塾とのつながりを使うことの価値は変わらないと考えています。その大切さを教えてくださった森さんの意思を引き継ぎ、今後の世代を暖かく応援していきたいと思います。
森さん、今まで本当にありがとうございました。
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